祓ったれ本舗解散。
事務所からも本人たちからも理由の説明はなく、ただ事実だけを告げるニュースに、世間では様々な憶測が飛び交っていた。
実は仲が悪かったのではないか。生意気な若手だったため、大御所を怒らせて解散という形で干されたのではないか。一部の女性ファンが過激だから、本人らの安全性を保つため芸人を辞める選択をしたのではないか。
主だったSNS上では、祓ったれ本舗に関連する単語がトレンドを占め、真実を欲するファンからの説明を求める声が、コンビで運営していたアカウントに殺到していた。二人がそれぞれ好きなときに好きなことを呟いていたアカウントも、解散した今、もう稼働することはないのだろう。
「何で解散するの。夏油が五条に愛想尽かしたってほんと? 二人が大好きだったのに。もう表には出てこないの? 説明してくれないとわからないよ。解散した理由知りたい。……んなの、俺だって知りてぇよバーカ」
雑誌の撮影が行われるスタジオの楽屋で、スマートフォンを弄りSNSのコメントを見ていた五条は、向かいのソファに端末を放り投げた。
いつもなら相方が座っているソファは空だ。ピンの仕事もあったため、一人きりの楽屋は初めてではなかったが、投げやりな自身の声がやけに空虚に聞こえる。
本来ならば、夏油もともに撮影に臨むはずだった。しかし、彼は昨日、今日の仕事を辞退している。夏油は、昨日の時点で、今後の仕事も全て断ったそうだ。根回しなんてしていない。ドタキャンに近い辞退は、社会人としてあるまじき行為だったが、夏油本人からの謝罪とマネージャーである伊地知の丁寧な調整により、関係各所は五条が出てくれるなら、と夏油の欠を呑んでくれたらしい。
「何で俺だけ仕事しなきゃいけねぇのかもわかんねーし、マジで傑何考えてんだ……」
両膝に肘をついて、組んだ手の上に額を載せ突っ伏す五条は、震える息を吐く。
いつも、自分が遅刻したら叱ってくるくせに、仕事全キャンセルとか最低だろ。これからどうすんだよ。オマエ、もう二度と表に出てこないつもりなのかよ。何で。
「……何で解散したの、俺たち」
ぽつり、と呟くように零れ落ちた言葉は、床に当たって砕ける。
昨日、夏油から告げられた解散の話は、ひどく一方的なものだった。
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